さくらのような 君でした
春のような 恋でした 〜♪


「はあああ、かっこいいい…」


一体、この番組を見るのは何回目だろう。
録画した音楽番組を何度も何度も繰り返す日々。

学校終わりのボロボロの体で、身を削って働いたバイト代は
ほとんど、大好きなNEWSの為に使われる。

新曲が決まれば、初回盤と通常盤を両方購入。
コンサートは、地元の公演は全て入る。
Johnny'sの公式サイトを見るのなんて、もはや日課。

世間では私のような人の事ををジャニヲタ、と呼ぶ。
だけど、私は普通のファンとは少しわけが違う。
趣味や好きなものの一環で応援しているわけでは無いから。


そう、私は…アイドル手越祐也に恋をしています。


彼の言葉に一喜一憂し、時には笑い、時には涙を流す。
普通の人が、身近な人に恋をするのと同じ。
ただ私の場合、恋をした相手が自分とはかけはなれた雲の上にいるだけ。

手の届かない遠い存在、それは重々承知していますよ。



然なのか、必然なのか。





「え!舞台裏ご招待!うわああ…いいな〜、当たった人。」



バイトが終わって家に帰り、ベッドでごろごろしながら
毎日の日課の公式サイトを見ていたら
新しい項目が更新されていた。


それは、今回NEWSが1年8ヶ月振りに行うライブの舞台裏に
公式サイト内で行う抽選に当選した人を招待する、というものだった。
そして、その説明文の下には、抽選に参加するための応募フォームのリンク文字。


まだ当選結果を通知していなければ、
応募締め切りだって終了していないのに
私の頭の中は既に落選しています、って感じ。


説明文に、当選人数はたった一人!
なーんて大きく書かれたら
もしかしたら!と思う気力すらも無くなってしまう。


きっと、全国から想像もつかない程の人数が
この企画の抽選に参加する。
結局は、当たる確立なんて1%にも満たないんじゃないかな…?
そう考えると、既に落選していると考えるのが妥当かな、って思ったり。


「…とは言っても、やっぱり応募はしとかないと、ね」


必要事項を記入し、(応募)のボタンを押すその瞬間
最初で最後のお祈りを、と思い
目を瞑って「当たりますように、」と精一杯祈って確定ボタンを押した。

目を開け、画面を見ると
抽選への応募が完了しました。の文字。

「奇跡、起きるかな?…起きるといいな。」




それから、2週間後。




「ったく、店長がびしっと対応してくれたらよかったのにさあ…」


バイトが終わった、午後9時。
バイト先での愚痴をぶつぶつと一人で唱えながら、夜道を歩く。

家について、いつものように適当に郵便受けを開けて
手探りで郵便物を探す。


「ん、なんか入ってる。」


どうせ、どうでもいい手紙だろうと思い取り出したら
真っ黒い封筒が出てきた。


「なんだろこれ、」


取り出した封筒を、くるっと裏返してみると
赤い文字で、Invitationと書いてあった。


「………Invitation、招待状?」


なんのことだかさっぱりわからない。
ここはマンション、もしかしてこの数多くある郵便受けの中で
私の郵便受けに入れ間違ったのかもしれない、と考えた。


「とりあえず持って帰ろうっと」


こんな怪しげな黒い封筒より、
私のチケットが入った、幸せの青い封筒はまだかな…なんて思って
エレベーターで自分の部屋の階へ向かった。





「ただいま〜、」


一人暮らしというものは、つくづく寂しい。
おかえり、のたった一言があればどれだけ幸せだろうか。

制服を脱ぎ捨て、部屋着へと着替える。
バイト先のコンビニで買ってきたご飯を食べて
自分一人のリラックスタイムへ突入する。


「あれ、携帯どこだろ。あ、鞄か」


鞄をごそごそあさり、携帯を探していると
さっきの黒い封筒。


「…住所が書いてなければ、切手も貼ってない。」


っていうことは、差出人が自ら私のポストに入れたってことだよね。
…怪しい、の言葉以外が浮かばない。
なんだか怖く思いつつ、封筒を開けてみた。


「え、チケット?」


封筒の中には、今回のNEWSのLIVEの
チケット1枚と…白い紙?


「あれ、チケット配達の封筒変わったのかな?」

でも私が取れたチケットは東京の3公演分だから
3枚あるはずなんだけどな…

なんて一人でぶつぶつ言いながら、
同封されていた白い紙を広げてみる。


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様へ

この度は、Johnny's公式サイト内で行った
NEWSの1年8ヶ月振りのLIVEとなる
LIVE!LIVE!LIVE! NEWS DOME PARTY 2010の
舞台裏ご招待の抽選へのご参加、
まことにありがとうございました。

厳正な抽選により見事、様が当選いたしました。
おめでとうございます。

つきましては、9月28日の最終公演日終了時に、
様のお席のお近くのスタッフにこの紙をお渡し下さい。
スタッフが舞台裏へとご招待いたします。

公演終了時のメンバーの体力や移動時間を考えますと
メンバーとお話出来る時間は、正味30分程です。
予め、ご了承願います。

今回の舞台裏ご招待当選者へのみは特別に
直接メンバーへのプレゼントやお手紙などを許可いたします。

それと、同封しましたチケットは
私からのささやかなプレゼントです。
尚、様が自らお取りいただきましたチケットは
配達指定日を明日として、お送りいたします。

では、NEWSの1年8ヶ月振りのLIVE
LIVE!LIVE!LIVE NEWS DOME PARTY 2010をお楽しみ下さい。


ジャニー喜多川

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「………ええええええええ!と、と当選?嘘でしょ?舞台裏?え?」


頭がぐちゃぐちゃに混乱しながらも
慌ててチケットの日付を見てみると、
自分が取ることの出来なかった最終公演のチケットだった。

名義は……、ジャニー喜多川


「ど、どうしよう、東京の全公演入れるよ…しかも祐也くんとお話出来る…っ」


嬉しさのあまり、気づいたら頬に涙が伝っていた。




その日から、私の頭の中はLIVEの事でいっぱいになった。

舞台裏に連れて行ってもらったとき、何を話そうか、何を渡そうか。
4日間連続で公演に入るなら、ドームの近くのホテルのお部屋取ろうかな。
うちわの作り直しはどうしようかな?あ、グッズ代の計算しなきゃ。
ホテル取るなら、もう少しバイト日数増やしてもらったほうが財布に負担かからないよな〜

毎日毎日、そんな事ばかり考えて色々なことをしていると
気づけばLIVEまで1週間。


「よし、うちわもお手紙も完成。新しいお洋服も買ったし、何より無事にホテルも取れた!」


リビングのテーブルでうちわやお手紙やホテルのチケットや、LIVEのチケット
床には洋服を広げて、購入品を最終確認中です。


「あとは、お金の計算を徹底的にして…うん。うまくやれそう。」




そして公演一日目。
大阪公演のネタバレは一切見ないで、この日が来た。
高鳴る胸を押さえながら、会場へ向かう。








それから3日間、私は無我夢中で楽しんだ。

自分名義のチケットの席は悪くない、とても良い席で
祐也くんから笑顔でファンサももらえたりして一人で号泣したり
MCで大笑いしたり…
すごく濃い、幸せな時間を過ごした。


そして本日、公演最終日。


「はああ、やっぱりLIVE前のこの緊張感ってなれない…」


心の中で私がステージに上がり歌うのでは無い、とわかっていても
なぜか毎公演、とても緊張してしまう。


開演5分前、周りのファンのみんなが立ち上がり
NEWSコールが巻き起こる。

会場が真っ暗になって、NEWSが登場。

3日間連続で公演に入った私は、セットリストももう完璧。
コヤシゲが、今回初披露した新曲の振り付けだって、もう楽勝です!
わあああああ、NEWSがきらっきら輝いてる…







そんなこんなで、最終公演も思う存分楽しんだ私は
すでにお腹いっぱいで満足、の状態。

だけど、お楽しみはこれからだったり。


「えっと招待状招待状…、あった。」


これをスタッフさんに見せればいいんだよね。
よし、あの綺麗な女性スタッフさんに…!


「あの…」

ス「?どうしました?」

「こ、これを近くのスタッフさんに渡すように書いてあったのですが…」

ス「……あ!舞台裏ご招待の当選者の方ですね。おめでとうございます!では、案内しますね。」

「ありがとうございます!」


スタッフさんは、会場から出ようとするファンの長い列の横を通り抜け
(関係者以外立ち入り禁止)の張り紙が張ってあるドアを開ける。


ス「こちらへどうぞ、」


ドアを通ると、下へ続く階段があった。


ス「ここの階段を下に降りていただいて、右に曲がりますとNEWS様の楽屋があります。」

「…えっと、ここから先は私一人ですか?」


楽屋の前まで着いてきてくれる、と思っていた私は
まだ心の準備が出来ていないのですが…!


ス「申し訳ございません、事務所の方からここから先はお一人でとの指示なので…」

「あ、すいません、わかりました!」

ス「はい、幸せな時間をお過ごし下さい。」


スタッフさんは、にこっと笑いぺこりと頭を下げた。


「ありがとうございました。」


緊張のあまり、階段を踏み外さないように
一段一段をゆっくりゆっくり降りた。

ここを右にまがって……わ!あった…

右に曲がったところには(NEWS様)の張り紙が貼られているドアがあった。
ゆっくり深呼吸をして、震える手でドアをノックする。

落ち着け私、落ち着くんだ…。


コンコン


?「はーい、どうぞー」


「!、し、失礼しますっ」


心臓が、胸を突き破って出てきそうなくらいバクバクしてる。
右手でドアノブをつかみ、左手で今にも破裂しそうな胸を抑える。


ガチャ



「失礼します!お、お疲れ様です!あのあの…、」


慶「おっ!お待ちかねのちゃん!」


「わわ、慶ちゃん、!えっと、あの!あああ、どうしよう…」


ドアを開けると、既に私服に着替えたNEWSの姿。
みんな笑顔でこっちを見てる…、
慶ちゃんに名前を呼ばれて、もう伝えようとしてたこととかが
いっきに吹っ飛びました、…


祐「ちゃん、かーわい!天使!天使じゃん!」

慶ちゃんの肩をとんとん叩きながら、話す…大好きな祐也くん。


智「いらっしゃい。男臭くてごめんね(苦笑い)」

「い、いえいえ!全然大丈夫です!むしろ、嬉しいくらいで!」

亮「なんや、面白いヤツやな〜(笑)」



慶「ねえ!誰のファンなの?教えて教えて!(笑)」

「えっと、祐也くん、です!(本人目の前にファンです、とか顔から火が出そう…!)」

成「なんだよ、手越かよ!(笑)」


祐「俺?え、めっちゃ嬉しい!ありがとう!」


きゃあああああ…笑顔が眩しいです!あああ溶けちゃいそう…


増「ちゃん、飴あげる〜」

とことこ、とこっちに近づいて はい、どうぞ と飴を差し出すまっすー。

「わ、ありがとうございます!一生大切にします!」

亮「や、飴は食べるもんやから、な?(笑)」

「あ、そっか…えっと、美味しくいただきます!(何を言ってるんだ自分。)」



慶「ちゃん、せっかくだからさ!俺らに何かしてほしいこととか、ない?」

「してほしいこと…ですか?」

慶「うん!なんでもいいよ〜!ほら、シゲを叩いてみたいとか!」

成「ちょ、小山ふざけんなよ(笑)」

智「そうだね、シゲルヤチャンスやってほしい!とか(笑)」

成「山下くんまで!(笑)」

慶「冗談冗談(笑)」


わあ、生のシゲいじりだ〜…と思いつつ
ふと気がつくと、さっきまで目の前にいた祐也くんが居ない。
楽屋を見渡すと
ん?机でなんかを…書いてる?(笑)
相変わらずマイペースだなぁ、なんて思い


「うーん…、あ、じゃあ祐也くん、に…」

慶「お!手越、ご指名!(笑)」


祐「まじ?(笑)」


机に向けていた視線を、きらっとアイドルスマイルでこっちに向ける。


「耳元で、名前、呼んでほしいです!」

亮「なんか、えっろいな!(笑)」

増「手越の得意分野じゃん!」



祐「ふふ、わかった!任せといて!(笑)」


その時…、

マネ「そろそろお時間です、移動車到着しまーす。」



慶「ほーい。…相変わらずうちのマネージャーは急だな(笑)」

智「よし、最後のお楽しみだね!手越、行け!」


山下くんがそうゆうと、他のメンバーは荷物を整理しはじめて
目の前には祐也くん一人。


緊張する、どうしよう…と思っていたら
祐也くんの顔がどんどん近づき
祐也くんのふわふわのパーマが頬に当たった。


すると、耳元で


祐「俺、ちゃんに一目惚れしちゃった♪ふふ、よかったら連絡して?」


話し終わると、目の前でにこっと笑った祐也くん。
きっと、どきどきにさせようと思って言った言葉だと思うけど
私は放心状態。
最後のほうの言葉の意味がよくわからなかったけど…
とにかく、私の顔は今真っ赤!


マネ「さん、出口案内します。こちらへどうぞ。」

「っあ、はい!」


「皆さん、ありがとうございましたっ。一生忘れません!」

慶「こちらこそ〜、楽しかったよ!」

智「これからもNEWSの応援、よろしくね?」

増「飴、ちゃんとなめてね〜」

亮「楽しかったで〜、ありがとう」

成「また、何かの機会に「はいはーい!シゲはいいの!」

成「おい、小山!(笑)俺の言葉をさえぎるな!」


祐「またね、ちゃん♪」


「///ありがとうございましたっ。」




こうして、舞台裏ご招待は忘れられない素敵な時間になった。
人生生きてきて、今日が一番幸せだああ!
なんて思いながらNEWSのマネージャーさんの後に続く。

マネ「あ、これ、先ほどお預かりした招待状です。記念にお持ち帰りください。」

「わあ、ありがとうございます!」

マネ「では、本日はありがとうございました。」

「こちらこそです。いい思い出になりました!」

マネ「では、こちらで失礼します」


会場の出口まで案内してもらい、外へ出る。


もらった招待状を鞄にいれようと思い、鞄を開くと
小さい紙切れが一枚。

「…ん、なんだこれ。」

その場に立ち止まり、その紙切れを開いてみると


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可愛い可愛いちゃんへ

090-XXXX-XXXX

一目惚れしたって、本当だからね?
よかったら連絡ちょーだい。

あ、俺、
誰にでもこうやってしてるわけじゃないからね。


祐也

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「えええええええ!さっき机に向かって書いてたのって…これですか?!」


この出会いは、偶然ですか?
それとも、必然ですか?…





おわり




復帰しました、夏でございます。

長々とだらだらとすいません。

気づけば大変なことになっていたんです、はい。

いやあ、本当にあったらいいですね!

こうゆうこと!(笑)


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