君が微笑む。
ただ、それだけ。












君と別れて何ヶ月経っただろう。
付き合って積み重ねた5年は、いとも簡単に崩れ落ちてしまった。











「彼氏、できたの。」
つい数週間前、君は嬉しそうに呟いた。



「へぇ、そうなんだ…。」
「うん。」
「俺のことは?好きじゃないの?」
「好きだよ。でも、今の彼氏が一番。」



そう言って髪を耳にかける君は、何も変わっていないようで。



「俺は、今でもお前のこと好きだよ。」
「知ってるよ。」
「女々しいとか思ってんの?」
「んーん。嬉しいよ、普通に。」



優しく微笑む口元も、何も変わってないのに、俺のものじゃないのかと思うと、狂いそうなぐらいの嫉妬が襲っていた。












そんな君との関係が変わったのは、何時の頃だっけ。

俺は相変わらず君を忘れられずにいて、
君は相変わらずな様子を見せながら、どこかに彼氏の姿をちらつかせていて。




「あ、指輪。」
「そう、買ってもらったの。」
「綺麗じゃん。」
「でしょ?気に入ってる。」
「俺のあげた指輪は?」
「持ってるよ、」



思わせぶりと言えば、思わせぶりで。
でも、思わせぶりでいいから傍にいてほしかった。



「ね、溜まってんだけど。」
「知らないよ」
「口でいいから抜いてよ。」
「無理だよ、ばか和也。」
「ケチ。」
「ケチで結構。」




思わせぶりな君につけ込んで、迫って、迫って、迫った。




「ね、最後に一回ヤらせてよ。」

この言葉が 関係 の始まり。














それから何度体を重ねただろう。

「あっ、あんっ」
「はぁ…お前、声でかすぎ」


寂しがり屋な君の性格ぐらいお見通しで。

「やっ、あ…かずっ」
「はぁ…かわい…、」



君が気持ちいいところも、
君が感じるところも、
君が歓ぶやりかたも、

アイツより俺のほうが知ってるでしょ?








いつの間にか、一途で綺麗な君を、汚く染めてしまった。



「あんっ、も、だめ」
「はぁ、もうだめなの?っ…く、」


罪悪感と優越感が襲う。


「やだっ、あん、イっちゃう…あぁっ」
「はぁ…イけよ、」






そうやって優越感が勝ち誇って、この関係から抜け出せない。







「愛してるよ、」
俺が囁いても

「あん、あぁっ…」
君は答えない。





「なぁ、はぁ…っ…」
キスをしても

「ん、やだ」
君は拒む。






「はぁ…あ、くっ…」
もしかして

「あん、ひゃ、あ…」
そのかわいい声もわざと?








熱の籠もる部屋、荒い息遣い、激しい鼓動。

「はぁ…はぁ…」
「はぁ…」
…」
「かずや…、はぁ…」






「愛してる。」






今日も俺の言葉は、






「知ってるよ、」






宙を舞う。








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(c)のらくらまい

実体験だったりする。
ちなみに男女関係は逆。



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