あいらびゅー、まいブラザー!






せっかいヒーロー!










いつだって兄はあたしの味方だった。


困ったときはいつだって駆け付けてくれたし、悩んでるときだって明るく笑わせてくれた。

楽しいときも、悲しいときも、寂しいときも、つらいときも、うれしいときも。
そう、どんなときだって兄はあたしの傍にいてくれた。






でも、



「きみ兄、あたし彼氏できた。」

『はぁ?!どこのどいつや!俺がぶっ飛ばしたる!』

「ちょ、話聞いとった?!」

『変なやつやったら絶対許さんからな。』


まさかのまさかな展開、




「きみ兄、あたしの選んだ人やで?」

『お前俺がおらななんも出来ひんやんけ』

「なにそれ、いつの話よ!」

『とりあえず会わせろ、早急に!』

「うるさい、きみ兄!」

『うっさいて何やねん!俺、絶対認めへんからな!』


きみ兄はあたしの敵になってしまった模様。














「ははっ、ええお兄さんやんか。」

「どこがよー…。」

のこと心配しとんやろ?」

「せやけど…」

「大丈夫やって。」

「忠義殴られたらどないしよ。」

「俺そーんな弱ないから。」


そのことを話すとはっはっは、と大笑いするあたしの彼氏、忠義。



「心配やなぁ…」

きみ兄は忠義のことを許してくれるんやろか。

ちらりと忠義を見る。

こざっぱりとした短髪にどことなく可愛さの残った笑顔。
嫌われる要素なんてどこにも見つからない自慢の彼氏。





「大丈夫言うてるやろー?」

「うん、そんな気ぃしてきた。」


忠義の大きな手はあたしを優しく包む。
おっきくて長い指。

どことなくきみ兄に似てる。なんて。













「おおおじゃまします。」

「緊張しすぎ、」

「そら緊張するわ。」

「あ、忠義、シャツのボタン上まで閉めて」

「あぶなっ」

「ネクタイもぐいっと上げて」

が上げてや」

「しゃーないなぁ、忠義くんは。」

「ふふふ」







『…なにを、しとんねん。』






決戦の金曜日。





「…ちょっと……新婚さん、ごっこ…」

『あほか、死ね。』

「すみません。」

『…おおくら、やっけ?とりあえず上がり。』

忠「はい、すみません。」





いきなり出鼻挫かれた。






『…おおくら、何や。』

「忠義です。」

『ふーん。うちののことどう思ってんの。』

「好きです、世界一。」

『よー、そんな恥ずかしいこと言うわ。』

「言わせたんやないですか。」

『うるさい。』


「きみ兄、忠義あんまいじめんとって。」

『知るか。』




いつにも増してドSモードのきみ兄。





『俺は許さん。』

忠「許してください。」

『許さん言うとるやろ。』

忠「納得できません。」




だんだん悲しいようなムカつくような変な気分になって、あたしはついに立ち上がる。



「大体なんで一々きみ兄に許可もらわなあかんのよ!誰と付き合おうがあたしの勝手やろ?!もう知らん!きみ兄なんかだいっきらいや!!」














そのあときみ兄はなんかめっちゃ怒ってたけど、あたしはそんなの気にもせず、ただ忠義の手を引いて家を出た。

ムカつくねん、くそ兄貴!!

いつも優しくてあったかいきみ兄はどこに行ってもうたんやろ。
忠義はほんまにええ人やのに、なんでわかってくれへんの?






「な、どこ行くん、。」
「知らんっ」
「知らんって、お前落ち着きいや。」

「…うん、せやな、ごめん。」




視界に触れた公園。





「忠義、ここ行こ。」
「公園?」
「そう、ここ隠れる場所あんねん。」






思い出の公園は時が流れて、なんだか小さくなっていた。
あたしがおっきくなっただけ、やねんけど。





「ここ。」

「秘密基地ちっくやね。」

「せやろ?」






あたしと忠義はそこに座る。







「忠義、ごめんな。」

「なにが」

「きみ兄、ほんまは優しいはずやねんけど、」

「なんや、そんなん謝らんでええやんか」

「うーん…」

「お兄さんのことよっぽど好きなんやな。」

「…うん…」








忠義の大きな手も、小さな顔も、背の高さも、よく食べるとこも、本当は何だかきみ兄に似てる。

気付いてるよ、あたし、きみ兄のことむっちゃ好きやもん。




「きみ兄はあたしのヒーローやねん。」
小学生のときのあたしの自慢だった。



「きみ兄は強いしかっこええねん。」
中学生のときのあたしの自慢だった。








「お兄さんにちゃんと許してもらお?大好きなお兄さんにちゃんと認めてもらお?」

「うん…」











『ええよ、許したるわ。』














ちらりと入り口を見るとそこにはきみ兄が覗いてて、

「え…きみ兄…。」




『お前、家出するときいっつもここやったやんか。』





ぼそりと小さく呟いたセリフ
『おおくら、ええやつやな。』













「きみ、兄…」


じわり、と涙が浮かぶ。
後ろからは忠義が微笑む声が聞こえた。




きみ兄はそんなあたしの顔を見て、優しく笑う。

『おおくら、に変なことすんなよ。』

忠「わかってますよ。」


『泣かしたら即刻ぶっ飛ばしたるからな。』

忠「泣かしません、安心してください。」


『ほな俺帰るわ。』











入り口から消えた人影。
忠義があたしの耳元で囁く。

「一緒に帰り。」
















『…、』

「きみ兄…一緒に帰ろ。」

『……せやな。』


ねぇ、きみ兄。


「手ぇ繋ごっか。」

『まだまだ甘えん坊やなー』

「うるさい、ばか兄貴」

『口だけ達者になって』




きみ兄は優しくて、強くて、かっこいいあたしだけのヒーロー。





ちょっとおせっかいだけど、

『またおおくらとと3人で飯食おか。』








あたしの自慢の
世界一のお兄ちゃん。









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(c)のらくらまい

駄文失礼致しました。


個人的に大倉さんの短髪(前髪も含め)が大好きなので、ビジュアル的にはそれをイメージしています。
色っぽい長髪もなかなかいいですけど、短いと彼の場合、とても幼くてかわいくなりますよね。


横山さんと大倉さんの手は普通に似てると思ってます。
実際親指辺りとか結構違いますけど、手の大きさとしては1センチ程しか変わらないようですし、指も細いですよね。
綺麗な手で惚れ惚れしてしまいます。


以上長々と失礼致しました。



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