わがまま王子を
誰か止めて!!

(HELP ME!)









上でタイタニック













ポカポカ陽気の昼休み、

気を利かせて
博貴のいる屋上に行くと
彼は頬を膨らまして
拗ねていらっしゃいました。

(厄介だな、この子。)





「ええやんか、タイタニックぐらい。」





そう言いながら
コンクリートの間の草を
ブチブチと抜いていく彼は

高校生とは思えません。





『ほら、博貴。草抜いたあかん。』


ちゃんが悪いんやんか。タイタニックしてくれへんから。」






年下の割に大人っぽい、

なんて

出会った頃の印象は既に
私の頭から消えかかっていて、





「屋上でタイタニックしたいねんもん!!」





そりゃ無理もない、と
友達は指差して笑うのです。
(当たり前か。)








諸悪の根源は
土日に放送していた
映画タイタニック。





もう何回も放送してるのに
今さら博貴くんは
ハマってしまったようで…





「なぁー!!ちゃん、ここ来てや!」





屋上の角っこで
手を広げる彼を見ては
ため息がひとつ。

(手を広げるのは女の子の役目よ。)






「なぁーはよ来てー!!」

『分かったからちょっと待って!』





博貴の元へ駆け寄ると
彼はニコニコ無邪気に笑う。






、好きやで…。」





博貴が急に私を
呼び捨てにするの、

いつもずるいって思うの
知ってるのかな…。






後ろから抱きしめられて
腕を広げる私のうなじにキスが落ちる。





ちゃん、こっち向いて…?」


『ん…』





重なった唇が
なんだか熱い。






「かわい。」


『博貴のばか。』






本当は私もタイタニック
したかった、なんて

絶対言ってやんないんだから。












(意外と楽しいやろ?)
(そんなことない。)


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 →のらくらまい

今の男らしい博貴、というよりは
夢に夢みる茶髪ふわふわな17〜19歳の博貴イメージ


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