泣きディストーション







「ただいま。」
「おかえり、仁。」



仕事が終わり、女と遊んで帰る午前2時。
家に帰るといつも通り、が寝ずに待ってくれていた。




「今日も遅かったね。」
「あ?あぁ…仕事長引いてさ。」



サングラスを外しながら俺は言う。

見え透いた嘘。
脱いだジャケットから香る女の匂い。
泣きそうな彼女。

すべて思惑通りで。




「ね、仁…指輪は?」
「あー…撮影んときに外したわ。どこ入れたんだろ。」
なんて誤魔化す俺に。

「また、なの。」
なんて小さく呟く彼女。






「それよりいいことしよーぜ。」


このタイミングで彼女を壁に追い込むと、びくりと震える体。


「なに、怖いの?」
「…う…」
「はっきりしろよ。」
「怖い…」


自分でもわかる。
女の匂いが体に染み付いてんのも、首筋にキスマークがついてんのも。


「あっそ。」


冷たく返した俺は、彼女の唇を塞ぐ。


「ん、んっ」


嫌がる彼女に、欲情する。
なぁ、早く泣けよ。
泣いた顔が見たいんだ。


するりと服に手をいれ、器用にホックを外す。
心地いい肌の感触。
手を滑らせると揺れる体。





「仁っ、やだっ」
「うるせえな」
「やだよ、仁っ…」
「すぐ気持ちくなんだろ」


逃げるようにして座り込んだ彼女。
そんなことしたら、余計逃げられなくなるのに。

無理矢理服を脱がして、上半身が露わになると、その細い腰に馬乗りになって体を倒し、胸を触る。





「や、やぁっ…」

どんどん潤む彼女の目。
熱くなるのは俺で。

「感じてんじゃん、」
「あ、っ…違…」
「何がちげぇんだよ。」

舌で胸の突起を舐めとると、びくんと体が跳ねた。






ちゅぱちゅぱと甘える子供のように突起を吸い、何度も何度も弄ぶように指で弾く。


唇を離したときには既に彼女の目はとろんと俺を見つめていて。

「はぁ、仁っ、だめぇ」

顔を歪める彼女に、俺は更に欲情する。






下の服を脱がして、ショーツは片脚に引っ掛けたまま、予想通り彼女のそこはぐしょぐしょ。


「ん、ん…」
「や、あぁっ…だめぇ、じん。」
「んっ…」
「は、あんっ…ひゃ、」


舌で丁寧に舐めとると、びくびくと何度も足を震わせる。
足先が丸くなって彼女が力を入れてるのを感じると、余計に気持ち良くしたくなって、赤く膨れたそこを刺激し続けた。






「ね、じんっ、だめなのっ」
「んぁ、ん、いきそ?」
「あっ、ぅん…」



と舌を離す俺。
何で、と俺を見つめる彼女の目からは涙が零れ落ちそう。

かわいい、なんて。


「じんっ…」
「何。」
「んぅ…」
「言えよ。」
「っ…」

「何?もう終わる?」

「…やだぁ、やめないで…」

「淫乱。」





足を大きく開かせて、ベルトを外し、服を脱ぐと、その間に体を入れる。

主張したソレを当てると厭らしい水音が響く。


先端を入れるとどんどん飲み込んでいく彼女。


「ふぁ、あ…あん。」
「やらしー声」
「ん、あ…」
「まだ入れただけだろ。」


圧迫感からか漏れる音は吐息とも声とも言えず掠れていて。



「はぁ、…。」
「んぁ、仁っ…。」

我慢出来なくなった俺はゆっくりと腰を動かし始める。




「あ、あん…やぁっ」
「はぁ、…くっ…。」
「や、あ、あん…んぁぁっ」
「はぁ、はぁ…はぁ…」


上がる室温、吐息、声。


「あぁっ…じん、だめぇ…」


彼女の目からぽろぽろと零れ落ちた涙。
そう、泣き顔が見たくて。


「あっ…やべ、」
「あん、あ…あ…あ…」
「くっ…う、」
「あぁっ!!」




彼女が俺を締め付ける。
歪んだ顔、涙、泣き顔。
すべてが俺を興奮させる要素で、




「う、…くっ!!」




激しく突き上げると、俺はそのまま果ててしまった。






………………………





「ねぇ、もうどこにも行かないで。」





シャワーを浴び、ベッドに戻り就寝前。
彼女が小さく呟く。

聴こえないふりをした俺はそっと目を閉じた。





彼女の泣き顔が見たくて、
そんな不純な動機で彼女を傷付ける。

体は満足させるし、精一杯愛するから。

これからも顔を歪めて。
泣き顔ディストーション。




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(c)のらくら まい

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関西人なので標準語があやふやなのですが、間違いなどあればご指摘お願い致します。


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