鳴り止まない鼓動は
あの日から始まってた

もうこれ以上抑えきれない






Heat is on








ほら、また鳴った。





深夜零時。
月灯りが都会の街を静かに照らす。


「またね」


そう言って手を振る君。
また、を期待して、胸は鳴る。



鳴り止まない鼓動。
少し熱る頬。
お酒のせいやと自分に言い聞かせて、俺は冷たい夜風に身を任せた。





君に恋をしたあの日から、このドキドキは止まらなくて。

本当はもっと触れたくて、傍にいたくて。





小さくため息。
白くふわりと消えていく。





次はいつ会えるんかな。
どんな話しようかな。

そんなことを考えながら、ポケットに手を突っ込むと少し足早に帰ることにした。





耳は冷たい。
それでも鼓動は止まない。
















音を鳴らす携帯電話。

家に到着して、やっと寝ようとしたところ。

ディスプレイに浮かぶ君の名前に、また大きく胸が鳴る。





「どしたん?」

受話器越しの君の声。
心なしか震えてる。



"すぐに来て。"





行くに決まってるやんか。





お酒が入っててバイクに乗れないのを後悔しながらも、考えるより先に体が動いてた。

走って走って走って。

激しくなる息遣いに、真っ白になる視界。





君の部屋の前まで行くと、少しだけ息を整えた。





かじかむ指先で押すチャイム。

中から出てきた君はぎゅっと俺に抱きついた。











「なんか怖くなった」
なんて、
他の人が聞いたらくだらないなんて思うような理由でさえ、俺の胸を高鳴らす。





「ごめんね、こんなことで呼んじゃって。」

「ええねんで。いつでも呼んで?」


全身に回った毒はきっともう抜けない。
君中毒に陥ってる。

ドキドキと胸を鳴らす音。
もう苦しくてたまらない。






「なぁ、

「ん?」





鳴り止まない鼓動は
あの日から始まってた。





「好き」





もうこれ以上抑えきれない





「好き。ずっと一緒にいて。」






end .
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(c)のらくらまい



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