そっと伸ばした腕を
掴んで、引き寄せて。
もっと強引に
汚してくれたらいいのに。
―ARSENAL―
太陽も沈み始めた午後5時、
THE EIGHTを訪れるといつものメンバーが各々、自分の時間をすごしている。
営業時間に合わせて忙しなく準備をするジャッキーとジョニー。
エースは相変わらずダーツ。
ガムにちょっかいをかけられつつもなおゲームを続けるトッポ。
マックは写真や書類を机に広げて真剣な顔つきをしている。
「ねぇ、アーセナルは?」
「さぁ、VIP ROOMちゃうん?」
アルコールが大量に並んだ棚を綺麗に片付けながらジョニーが言う。
「見てくる。」
そういってVIP ROOMへ向かおうと踏み出すと
「お前ほんまあの根暗好きやな。」
なんて、からかうようにニヤリと笑ってエースがこちらを見た。
「うるさい、自分やって根暗なくせに。」
背を向けた私の後ろでガタガタとイスが倒れる音と、ガムがエースをなだめる声が聞こえる。
エースはとにかく喧嘩っ早い。
VIP ROOMのドアをあけると早速、大きな瞳と目が合った。
「ここにいたんや。」
「……。」
彼は視線を私から手元のリボルバーに移すと、黙ったままメンテナンスの続きをし始める。
「ねぇ、かまって。」
「なんでやねん。」
「さみしいから。」
「いやや。」
彼と出会い、秘密の付き合いを始めてからもうどのぐらい経ったのだろう。
周りからは私の片思いだと思われている。
それぐらい彼は冷たい。
本当に、片思いなのかもしれない。
「私のことちゃんと好きなん。」
「……」
「なんで黙るの。」
「……」
掴まれた手首。
倒れていく体。
抵抗はしない。
「ん。」
深く重なる唇。
離したくなくて首に腕を回して、もっと、もっと、って私なりにせがんでみる。
伝わっているのか、いないのかなんてわからないけど。
絡まる舌。
追いつけなくて唾液を口端から漏らす私に唇を離して彼は言う。
「かわいい…」
その一言でどれほど私の心が温かくなるのか、きっと彼は知らない。
言葉少なに、ただひたすら愛し合って。
脱がされて重なる肌の心地よさと体温に上がっていく息。
「はぁ…ん、やぁ。」
「…」
声を上げるのは相変わらず私で。
「んぅっ…あ、」
胸を舌で弄ばれて、快感に悶えながら足先を丸める。
本当は彼にも気持ちよくなってもらいたいのに、力が入らなくてただ彼の腕に手を添えて身をよじる。
十分な愛撫のあと足を開かされて入ってきた彼は熱くて、大きくて。
興奮してくれたのかな、なんて思って思わず笑みが零れた。
「ん…はぁ…」
「あぁっ…や、ん…」
自分の額の辺りで声を漏らす彼。
そんな息遣いにも敏感に反応しながら私は彼の腰に足を絡ませた。
「んっ…あ…はぁ…」
「あんっ…ひゃ、あーせなるっ…」
「はぁ…ん…何…」
「はぁ…気持ちいよぉ…」
ふっ、と優しく彼が微笑んだような気がして、ドキッと心臓を揺らすとそんな余韻に浸っている間もなく彼の動きが早くなる。
「あっ、あん、や…だめぇ…」
「はぁ…あかんこと、ない、やろ…っ」
「んぅ…変に、なっちゃ…あんっ」
突き上げられるたびに体の奥と胸の真ん中がきゅんきゅんと音を鳴らす。
「ね、も…いっちゃうよ…あぁっ、」
「はぁ…ん…」
彼の与え続ける刺激に耐えられなくなった私は彼の眉間に寄った男らしい表情を見ながら果ててしまった。
私の中から抜いた彼はそれを私の口に含ませる。
「んっ…んっ…ん。」
まだあそこがひくひくと彼を求めるのを感じながら口で一生懸命に自身を扱くと苦い味が急に口に広がって私は顔を歪めた。
「はぁ…」
「ん…いっぱい…」
ゆっくりと少しずつ飲み込んでいく。
彼は小さく笑った。
「好きやで…」
抱きしめられた途端耳元で囁かれた言葉。
彼の顔が見たかったけど、何よりも抱きしめられていたくて、自分の顔を見られたくなくて、そのまま静かに涙を流す。
「泣くな」
「うるさい、しらない。」
「なんで泣くねん…」
「うれしかったんやもん。」
不安で不安で仕方なかった心が温かく抱きしめられていく。
ねぇ、もう一生離さないよ。
だってふたりは
“両想い”なんでしょう?
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→のらくらまい
お待たせいたしました。
長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。
これからも読みにきていただければ嬉
しいです。
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