君はいつも言う。
「ねぇ、足りない。」
―遮二無二愛して。―
「ん…」
「…」
ゆっくりと唇を離す。
名残惜しそうにくちゅ、と音が鳴る。
君は俺の首に腕を回すと、甘えるようにすがりついて囁く。
「ねぇ、足りない。」
またか、と。
俺は君の頭を撫でて、柔らかいその髪に指を絡ませる。
そして再び口付けする。
苦しそうに息を漏らしながら、俺の舌に追いついて、君と俺、ぜんぶ絡まり合って。
「んっ…ん。」
君の小さな手が、俺の体を撫でる。
唇を離し見つめると、とろりと甘い表情。
かわいくて、甘ったるくて。
キャラメルが舌に溶けていくようで。
時計の時刻は間もなく深夜零時。
終電は近い。
「な、時間。」
そっと呟くと、
「やだ、まだ足りない。」
なんて。
君は我儘で仕方ない。
いつもそうだ。
こんなことは慣れっこで。
「やだ、やないやろ。」
「やだもん。」
「帰らな、明日も仕事やろ?」
「でも嫌。」
そう言って君は、どんどん俺に近付いて、またキスをせがむ。
「ね、いいでしょ?」
耳元で囁いた君。
堕ちたのは俺で。
「しゃあないなぁ。」
なんて
厭々な言葉を発しながら、俺の声も君のせいか甘ったるくなっていた。
「んー…」
「なに。」
「ねぇ。」
「なにって。」
「むー…」
「どこ触っとん。」
「知らない。」
「あかんやろ。」
「あかんの?」
「あかんよ。」
「でもおっきくなってきてる。」
「お前のせいやろ。」
気が付けばふたりベッドの中。
俺はどこまでも君に堕ちる。
「はぁ…ね、もっと…」
「はぁ…何が…」
「足りないの…、もっと。」
君の口癖は相変わらずで。
「はぁ…、あっ、や…」
「…はぁ、足りないんやろ?」
「んっ、激しっ…あんっ」
その口車に乗せられる俺も相変わらず。
「んっ…はぁ、ね、しょーた」
「はぁ…ん…?、」
「好き、んあっ…」
「はぁ…俺も…。」
何度も何度も突き上げて、
君はいやらしい声を上げる。
「愛してる」と耳元で囁くと、まだ「もっと」なんて、君は欲張りだ。
「はぁ、っ…愛してる、」
「あぁっ、しょ…たぁ、」
「はぁ…かわい…」
「んっ、も…だめっ」
君のナカを何度も突き上げて奥に当てると、それに合わせて君が歌って。
ぐちゅぐちゅ、と結合部分からは耳を塞ぎたくなる程、胸をえぐるような卑猥な音。
君の体に力が入って、俺自身を何度も締め付ける。
ひくひくと呼吸するそこに、俺は白濁をぶちまけた。
横になる体。
君の暖かい体温を感じる。
寝てるときは大人しいのに、目が覚めるとすぐ子供な君。
柔らかい体をそっと撫でる。
なぁ、もっと
「さわりたい…」
かも。
思いがけず欲張りな自分に小さく微笑んだ。
なぁ、もっともっと、お前を愛したい。
end.
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