少し息を整えて店に入った。


久しぶりに会う、
高校時代の友人。


そして、
「忠義、遅いよ。」
好きだった、君。




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仕事が長引いてしまって
同窓会に参加できたのは、開始時刻から一時間半も過ぎたあとやった。







「大倉、何飲む?」
「とりあえず生。」

空いてる席に座り、注文をする。
目の前には







随分見ない間にみんな大人になってて、
は綺麗になっていた。

俺も少しは変わったんかな。
かっこよくなってる、って思われてたら嬉しいんやけど。







「忠義、遅いよ。」
がこっちを見て微笑んだ。
笑い方は変わってない。



「俺やってはよ来たかったわ。」
俺も笑い方、変わってへんかな。




「飲み物は?頼んだ?」
「おん、今頼んだ。」
「何にしたん。」
「生。」
「男ってみんな生やね、」


くすくすと笑う君、
綺麗な肩が揺れる。





「これ、美味しいで?」
「何これ、」
と差し出されたオレンジ色の液体。

「カクテル?」
「マンゴージュース」
「酒ちゃうんかい(笑)」

「美味しいから飲んでみてや。」



グラスを手に取り
小さく、ひとくち。


と、
「間接キスや(笑)」
なんて君が囁くもんやから
「小学生か(笑)」
思わず吹き出しそうになってしまった。


しょうもないのに、意識してまう自分に腹が立つ。






しばらくするとの隣には他の女の子が。
俺も隣のやつに話しかけられて会話は終了。

もうちょっと話したかったな、なんて。






ちらりとを見ると視線がぶつかった。
君は微笑み、そして少し照れくさそうに目を伏せる。




なんで俺、ドキドキしてるんやろ。
もう何年も昔の恋やのに。




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しばらく経って、居酒屋の席はお開きになった。
二次会はカラオケらしいけど、明日もあるしそろそろ帰ろうかな、と時計をちらり。


「俺帰るわ、ごめんな、また誘ってや。」



みんなに手を振る、と
「忠義、一緒に帰ろ。」
なんてがこっちに近付く。





も帰るん?」
「うん、明日ちょっと早いから。」
「そうなんや、大変やな。」
「そんなことないよ。」



なんとなく寄り添う体。




「お前、家どこなん?」
「まだ実家なの。」
「ちょっと遠いやん、送るわ。」
「え、ええよ、悪いし。」

「女の子、ひとりで帰されへんわ。」
「うん…ありがとう。」



ふたりゆっくりとした足取りで、の家に向かう。






居酒屋をしばらく歩くと、
学校の帰り道に続いとって、
なんか昔を思い出す。



「懐かしい、この道」
「せやね、」
「あ、俺ここのパン屋めっちゃ好きやってん」
「知っとるよ、忠義いっつも大量に買うてたやん(笑)」
「そう、バイト代の半分、パンやったわ(笑)」




ふと指先が触れた。
自然と手を握った俺。

嫌やないかな。




「なんか恥ずかしい。」
「嫌やない?」
「うん、」

君の笑顔を見て安心する。
俺、酔ってんのかな、ドキドキする。





ふたりゆっくり歩く。
空には満月。
静かにふたりを照らす。





満月を見てると
なんか言えそうな気がして。

俺は昔の恋を引っ張り出した。



「な、。俺な。」
「うん」
「お前のこと好きやってんで。」





頬を風が掠める。
ほんのり火照った肌が気持ちい。






「うちも、好きやったよ、忠義のこと。」



そう言って、俺を見て微笑んだ
なぁ、お前、ほっぺ赤いの気付いとる?




「ちょっとだけ、抱きしめてええ?」
「うん…」

そっと君を抱き寄せた。
お酒を飲んだ俺の体は熱くて、素面の君は平熱。






「忠義あったかいね、」
「お酒、飲んだし。」
「うそだよ。」
「なにが。」
「忠義、照れてるくせに。」


腕の中で俺を見上げる
可愛すぎて、俺は更に温度を増す。






「今日は、めっちゃドキドキするねん。」


そう呟いた俺。


「また好きになりそうやわ、」


首に顔を埋める君。







36.5℃の君の体温も、
どんどん上昇して

「俺ん家、来る?」
「うん、」

今宵、ふたり溶けてひとつになろう。





end.
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(c)のらくらまい

駄文すみません(土下座)
リアルに下手すぎる(′ヽ`;)

「間接キス」のくだり
「微笑み、そして照れくさそうに目を伏せる」

これ結構使えますよ(笑)
リアルに実証済みです←



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